壁井ユカコ「エンドロールまであと、」

エンドロールまであと、 (ルルル文庫)

エンドロールまであと、 (ルルル文庫)

田舎町の旧家に暮らす双子、左馬ノ介と右布子の恋物語であり、亜寿と貴大を加えた映画研究会の青春物語でした。前者としてみるとラストが唐突だしそんなに・・・ですが後者はクオリティ高いです。最初は反発していた右布子と亜寿が次第に仲良くなるところや、映画の道に進むのを諦めつつも情熱を燃やす貴大がよかった。貴大が“今”を記録するシーンが一番の名場面だと思います。つか貴大のほうが(左馬ノ介より)カコええよな。簡単に諦めないでもうちょっとあがいて欲しいけどw
文章や描写の一つ一つが魅力的で、壁井ユカコ、繊細さで魅せる文章を書かせるとやはりうまいですね。

「格好悪い、先生」
「格好良く生きるのは疲れるんだ。俺はだいぶ前に諦めてしまってね」

これが大人の対応なのかもしれないけど、俺はまだ諦められそうにないです(;^ω^)。