甲田学人「断章のグリム5 赤ずきん・上」

まだ明るい夕刻の、それでもほの暗い鬱蒼とした森の中の小道を、神社へと向けて歩く二人の少女。たどたどしい足取りで後ろを歩く不器用な少女が、遠く離れてしまった前を歩く友人を見上げる――その瞬間、友達へと向けた視線が友達の顔を通り過ぎ、その頭上にある鳥居から垂れ下がる、完全に死人の色をした真っ白い“腕”へと焦点があった。かくして悪夢はまた、<童話>のかたちで浮かび上がる。
民俗学と童話をモチーフにした、ミステリ風味を効かせたグロホラー5冊目、本作のテーマは赤ずきん。まだ上巻ということもあっていろいろ控えめだけど、それでも不安や嫌悪感を掻き立てる描写の一つ一つが素晴らしいと思います。事件の中心になるであろう、少女たちの関係が絶妙に歪んでていい感じですw
このシリーズの評価と期待値は、前作の「人魚姫」で一段上がってるわけですが、本作も期待通りのクオリティを発揮してくれそうでwktkです。