ほしおさなえ「ヘビイチゴ・サナトリウム」

ヘビイチゴ・サナトリウム (創元推理文庫)

中高一貫の女子高で生徒が自殺した。さまざまな噂が飛び交う中で、後を追うように教師も自殺した。小説化志望だった教師の残した新人賞原稿、教師の妻が残した個人サイト内の原稿、いくつもの手記。テキストは交錯し、事件の真相を調べようとした海生と双葉は翻弄される。みたいな。
キャラクタがあまり立ってなくて*1序盤は読み進めるのに苦労したけど、謎の輪郭と背景にあるものが見えてからは楽しく読めました。なるほど確かにミステリを解体した上に立つ自己の探求の話だけど、それ以上に“少女”という存在を（割とえぐいところまで）書いた青春小説と読んでたので、笠井潔の解説より久美沙織のそれのほうが共感できました。そしてその方向性ではかなり完成度の高い作品だと思います。
ラノベ以外のところから出てきた青春ミステリにこんなこと求めるのは酷かもしれないけど、萌えがほとんどないのはちょっと残念でしたｗ この話ならもっとあざとく狙っても良かったのにｗｗ

*1:特に準主役は誰が誰やら・・・