タカハシマコ「乙女ケーキ」

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

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少女を書くときのタカハシマコの切れ味はハンパないです。いわゆる百合と呼ばれる系統の作品を集めた短編集なのですが、まあいつものタカハシマコですね。繊細に研ぎすぎてある種の危うさを持つに至った鋭い刃物で切り込むような少女の内面描写は凄みすら感じさせます。あ、ここでいう少女ってのは年齢だけで定義されるものではなくて、むしろ内面の少女性が(あらぬ誤解をまねくので省略されました)
よかったのは「ショートカット」「タイガーリリー」「夏の繭」の三作。ベストは「夏の繭」。この短編は神がかってますw 自分がなくしていく純粋さを別の少女に求める、その姿を通して少女性を印象的に描く、というタカハシマコが時々使う手法がこれ以上ないくら鮮やかに決まってます。
桜庭一樹が帯にコメントを寄せてるけど、小説分野で同じようなことやってる人なのでピッタリな人選ですね。
なんかもういろんな意味で手遅れな気がします(俺が)。