アサウラ「バニラ A sweet partner」

バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

あたしとナオは、それぞれライフルと自動小銃を持ち、夜の闇にまぎれて狙撃を繰り返していた。それは、あたしたちがこの世界に出来るただ一つの抵抗だった。理不尽を突きつける世界に銃弾を打ち込むことで、わたしとナオは気づかぬうちに警察にマークされていた。それでも、警察との銃撃戦を突破したときも、深夜の学校に立てこもったときも、ナオと一緒にいられるこの瞬間だけが、あたしの生きる希望だった。みたいな感じ。
うーん。
警察の視点と切り替えながら綴られる立てこもりの駆け引きは十分に面白かったし、理不尽な世界に銃弾を打ち続ける少女、というテーマも好みなんだけど・・・。桜庭一樹の某作品より上手いかと言われると言葉を濁してしまいます。
心に傷を抱える少女がお互いに心のつながりを求めて、という関係がよく書けてたので、百合小説と見た場合には素晴らしい作品だといえるでしょうw
でもあれだけナオと一緒に入れるこの刹那だけが大事だ、とか言っておいて最後の行動はちょっと矛盾を感じてしまった。心中オチのほうが読者の心に強い銃弾を打ち込めたのでは、とも思います。