恩田陸「Q&A」
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 文庫
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「わかりました」
では、あなたの名前と年齢、職業を教えてください。
「カズキ、2○歳、学生です」
この作品をあなたの言葉で説明してください。
「最初から最後まで質疑応答の会話文で展開される、郊外のショッピングセンターでの不思議な事件を綴った小説でした。後半には質疑応答じゃないただの会話が多くなってっきて、ラストはちょっと微妙でしたが、面白い試みだと思います」
面白い試み、というのは。
「一つの事件でも、誰がどういう視点から見たかで全く別の様相を呈することです。現実は実際に存在するものではなくて、それぞれの人の頭の中にその人が現実だと思ってる妄想が存在するだけ。このテーマを突き詰めるための質疑応答というスタイルが実験的で面白いと感じました」
なるほど。その他に感じたことはありませんか。
「物語後半でこれまでの登場人物がリンクするところがちょっと面白かったけど、それのみを突き詰めたコメディである「ドミノ」(→)のほうが爽快感に勝ります。物語が発散してるからそう感じたのかな。ぼくは最後に怒涛の勢いで収束する「ドミノ」のほうが好きですね。」
発散というのは。
「いくつかの謎と伏線が回収されずに放置されてるのをそう表現しました。その辺が、どうにもすわりが悪くて」
わかりました。最後に何か付け加えたいことがあればどうぞ。
「独特なスタイルと前編を通しての不気味な雰囲気が印象的で、バカミスという言葉がピッタリの作品でした」