野村美月「“文学少女”と繋がれた愚者」

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

図書館の本を切り裂いていた芥川くんに、遠子先輩は満面の笑顔で言ったのだった。「青春の息吹がストレスを彼方に吹き飛ばすのよ!だからね、芥川君。文化祭でわたしたちと一緒にお芝居をしない?」
武者小路実篤「友情」を下敷きに、登場人物の心の奥にある暗い部分を抉る”文学少女”三冊目。コメディタッチな冒頭に騙されちゃいけませんw
えーと、今年読んだ小説の中で一番面白かったです。魅力的なキャラクタと丁寧な内面描写、そして素晴らしいストーリー。いいところを挙げていったらいくらでも挙げられそうですが、芥川くんと一緒に追い詰められていく心葉が遠子先輩に救われる演劇のシーンは本当に素晴らしく、素直に感動しました。

わたしが先ほど語った物語は、人間の愚かさや哀しさを語る物語であると同時に、”再生の物語”であり”始まりの物語”だわ! これから素晴らしい未来が手を広げて待っている。そんな物語よ! そして、わたしたちのこの物語も――!

三冊目にして始めてデレた琴吹さんが可愛ええのですがどうしましょう? 先輩派だったはずなのになぁw