日日日「ピーターパン・エンドロール」

ピーターパン・エンドロール

ピーターパン・エンドロール

私には教科書も小説も現実も同じものに見えるのです。私は誰かが創作した虚構の登場人物なのではないかと。その証拠に私の現実感はこんなに希薄で曖昧で、唯一リアルに感じられるのは本ばかり読んでる不思議な少女、「旅人さん」だけなのですから。大人になれない少女と大人になりたくない少女、彼女たちの妄想と現実が交錯するとき、ウェンディは大人になってしまう。みたいな感じ。
かなり良かった。希薄な現実感、理由のない苛立ち、漠然とした不安といったあの頃ぼくらが感じていた感情が物凄くリアルです。”あの頃”を相対化しないまま、今の日日日が感じてる通りに書いたのが良かったのでしょう。これが新城カズマの言う「同世代感」か。
もう少し伏線を増やしてラストの唐突さを感じさせないようにしたらもっとよくなったような気がします。