野村美月「“文学少女”と飢え渇く幽霊」

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

遠子先輩が設置した文芸部のポストに入っていた紙切れには“怖い”“助けて”“幽霊が”といったおどろおどろしい言葉と数字の羅列が書いてあった。ぼくと先輩が張り込んで見つけた、ポストに投函する幽霊のように痩せた少女は言った。「だってわたし、とっくに死んでるんですもの」
凄えぇぇぇ。ここまで純粋で屈折した愛憎の物語、久しぶりに読んだよ。複雑に絡み合い、すれ違い、縺れ合い、苦しめあう――憎いほど愛し合う人々の物語。狂気と憎悪、そして狂おしいほどの愛情が描写される終盤には凄みすら感じました。コメディ風の文体や遠子のキャラがひたすら重くなるだけの物語を読みやすくしてるのもいい感じです。多分この話、蛍の視点で書かれてたら読んでられないくらい痛々しいものになってたと思うよ。
ストーリーと全く関係ないところでツンツンする琴吹さんに注目ですねw