はやみねかおる「そして五人がいなくなる」

わたしが中学生になった春、隣の洋館に引っ越してきた痩せて背の高い黒い服を着た男の人は「名探偵 夢水清志郎」という表札を出した。わたしたちは彼を「教授」と呼び、推理力はあるけど常識と記憶力のない教授にご飯をあげたりした。夏休みになってもゴロゴロしてるだけの教授をお母さんのご飯で釣って連れてってもらった遊園地で、わたしたちの目の前で子供たちが次々に消えていく不思議な事件に遭遇して・・・。
はやみねかおるがジェブナイルミステリのスペードのエースと呼ばれるのもわかる気がします。しみじみと、いい。猫丸先輩もびっくりの非常識探偵をしっかりした女の子が餌付けして(w 一緒に事件を追うというスタイルも楽しいし、何より(メインの)読者である子供たちに対する優しさに満ちてるのが素晴らしいです。

「今の子どもと昔の子どもと、どっちが幸せだと思う?」
わたしが聞くと、教授はあっさり答えた。
「どっちも幸せだよ。子どもは、いつの時代だって幸せなんだ。また、幸せでなくちゃいけないんだ」

古典ミステリをほとんど読んでないから、伯爵が最後に自分を消失する意味がない*1のには物凄くつっこみたくなったけど、それは汚れた大人のすることなので俺はやりませんw

*1:古典ミステリの美学だってのはわかるけど・・・