滝本竜彦「超人計画」

超人計画 (角川文庫)

超人計画 (角川文庫)

普通に解釈すればエッセイ、せいぜい私小説としか言えない作品なのでこのカテゴリーでよかったのかは疑問です。
NHKにようこそ」を書き上げた後、鬱病に悩む滝本竜彦脳内彼女・レイとともに真人間を目指しリハビリする話と見せかけて滝本竜彦の苦悩と恨みつらみを出力した作品でした。
滝本竜彦、きっと典型的なハングリーアートの人なんだろうな。現実世界に対する不満、ルサンチマン、自分や世界への絶望、そういったネガティブな要素が創作の原動力になっていて作家として大成しても決して幸せになれない、人間彼女なんて作ろうものならたちまち小説が書けなくなってしまう。素晴らしい作品を生むためには不幸でいなければならない孤独な芸術家、みたいな。読者としてはまた滝本竜彦に絶望してもらっていい小説を書いてもらいたいのですがw
森見登美彦太陽の塔」と時を明けずに文庫落ちするというのもいろいろと象徴的ですね。