森見登美彦「太陽の塔」

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

私の大学生活には華がなかった。とくに女性との縁は全くなかった。しかし、そんな生活を私は悔いてはいない。幸か不幸か私の周りの男たちも喪男ばかりで、我々はイケてるイベントサークルに対抗すべくイケてないイベントサークル「男汁」を結成しようと試み、妄想と思索によって更なる高みを目指した。高く上りすぎて降りれない、または降りるのが怖いということに目を瞑りながら、男だけのフォークダンスを踊り続けた。
非モテ小説家として東の滝本竜彦と双璧をなす西の森見登美彦のデビュー作。待ちに待った文庫化です。
喪男な主人公のストーキングと仲間たちとの妄想にあふれただらだらした日常から、恋愛ファシズムに対抗して主人公たちが「ええじゃないか騒動」を起こすクライマックスまで、自虐的な笑いにあふれていてとにかく楽しい。しんみりとしたラストシーンも(・∀・)イイ!。どこをとっても素晴らしい、とにかく楽しい小説でした。相当に読者は選ぶけど、物凄い傑作であることは間違いないです。選ばれたと思ったあなたは読んでみるべきですw もちろん俺は選ばれたけどなっ!
名文・名言・名場面にあふれてる本作ですが、ここはやはり冒頭を引用してこの駄文の〆としましょう。

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。