長谷敏司「戦略拠点32098 楽園」

戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)

１０００年以上も続く宇宙間戦争のさなか、敵対勢力がことさら重要視する惑星があった。＜拠点32098＞と名づけられたその惑星を調査するために、ただ一人降下に成功したヴァロワは、自然が美しいこの星で長閑に暮らす敵兵・ガダルバと少女・マリアとであった。「楽園」とマリアの残酷な真実に気づいたときに、ヴァロアとガダルバは何を選ぶのか、みたいな話。
２００ページにも満たない短い話の中で一つのテーマを見事に書ききってます。自身の秘密にマリアが最後まで気づかないことで、放牧的でのんびりとした生活とマリアの純粋さがそのまま切なさに繋がってるんですね。これは物凄く上手いし、そして悪趣味だと思いますｗ でも泣けた。
秋山瑞人「猫の地球儀」と比較すると面白い考察が出来そうです。やらないけど。
とはいえ、デビュー作がこれで出世作が「円環少女」じゃあ、さすがに言い訳の余地はないと思うよｗ