米澤穂信「夏季限定トロピカルパフェ事件」

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

よねぽ新刊。
「わたしね。・・・何だか、素敵な予感がしてるの！」夏休み直前にたまたま訪れた縁日で、僕を探してたらしい少佐内さんは、僕が夏休みに暇なことを確認してから言った。そして僕は少佐内さんと＜少佐内スィーツセレクション＞の通りに甘味処めぐりをすることになった。甘いもの苦手なのになぁ。みたいな「小市民シリーズ」二作目。ネタバレぽいので消しときます。
どうやら俺はこの作品の読み方を間違えていたようです。「いちごタルト事件」は、少佐内さんを印象的に書きつつも、あくまで謎に焦点を当てた日常の謎ミステリだったわけですよ。翻って本作。少佐内さんももちろん重要なのですが、ラストで物凄い勢いで小鳩くんにフォーカスしてます。小鳩くんの「小市民」を目指すという傲慢さだの、恋愛関係でも依存関係でもなく互恵関係という少佐内さんとの関係だの。極端に言えば小鳩くんと世界の繋がりを問うてるんですよね。もう完全に青春小説です。まさかこういう方向性に行くとは・・・。
この流れを全肯定しつつ秋季限定、そして完結になるだろう冬季限定の甘いもの事件を楽しみに待ちます(;ﾟーﾟ)。