坂木司「青空の卵」
- 作者: 坂木司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/02/23
- メディア: 文庫
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ミステリ的なものとは関係なく引っかかる部分が多々ある作品でした。鳥井と坂木が27歳の独身男なのにピュアすぎるとことか。”いい人ならではの無神経さ”に全く無自覚なとことか。中でも最初の短編「夏の終わりの三重奏」が一番気になったかな。
ちょっと引用。
ああ、と僕は納得した。僕は女の子ではないが、確かに男にはそういうことをするやつが多い。相手が助けを求めていないのにあくまで「親切心」で手をさしのべ、一人で出来るからと断られると激昂して逆恨みするのだ。そいつらにとって、手をさしのべる相手は大概自分よりも弱く、下だと見ている存在だ。
こういう男を作中で糾弾するのは別にかまわないのですが、同じ話の中で、というかその直後に
「(前略)OL時代に何回か海外旅行に行ったけど、大抵の国では女の人やお年寄りが苦労してたら男の人が手を貸していたわ。(中略)イタリヤやバリが女性の間で流行るのだって、そういう背景があることは否めないわ。たとえ表面的なお世辞だって、遊びだとわかっていたって、自分たちを美しいといって花をくれる男たち。大切に扱われれば大抵のことは許せてしまうのよ。(後略)」
こんなこと言わせちゃダメだと思うんですよ。この二つの事象で表層に現れるものは全く変わらないから。同じように知らない相手に親切にすることを、方や内面を邪推して糾弾して、方や表面的なお世辞でいいといって賛美されても、腐れフェミニストの妄言としか思えません。下心ありの”親切心”を批判したなら「だから他人には関わらないようにしましょう」となるのが自然な流れだと思いますよ。
なんだか俺の性格の悪さが露見しまくった気がするこの辺で止めときますw 無神経に他人に干渉するいい人ならではのあつかましさとBLっぽい坂木と鳥井の共依存関係になじめない人は、俺含めてかなり居そうですね。