「七つの黒い夢」

七つの黒い夢 (新潮文庫)

七つの黒い夢 (新潮文庫)

完全未読は誉田哲也岩井志麻子の二人。こうやって並ぶと桜坂洋の浮きっぷりが凄いw
乙一「この子の絵は未完成」。白乙一。子供の想像力をうまくファンタジーにしていて、ちょっといい話としてきれいにまとまってました。
恩田陸「赤い毬」。幻想小説。幻想的な雰囲気はよく出てるけど、もう一押し欲しいかな。
北村薫「百物語」。怪談。ラストを具体的に明記しないことが怖さに繋がってる気がします。一番”怖い”のはこれ。
誉田哲也「天使のレシート」。天使さんのキャラクタが魅力的でした。でもそのオチは・・・。別にこういうオチも嫌いじゃないけど、この話にふさわしいかと言うと・・・。
西澤保彦「桟敷がたり」。読後感の悪さはぶっちぎりw 真相が論理的に判明して、それゆえに強烈なダークさを放ついつもの西澤クオリティ。この人の短編としては出来がいいとはいえないかな*1
桜坂洋「10月はSPAMで満ちている」。なんと日常ミステリ!桜坂洋、こんな話もかけたのか。「よくわかる現代魔法」の2ch語を話す女子高生・坂崎嘉穂がOLになって登場してます。
岩井志麻子「啼く姉と嘲う弟」。ラストが意味不明。や、仕掛け自体はわかるけど、それをやる意味は全くわかりません。


方向性がてんでバラバラなんで、同じ評価軸でもってどれがいいとか比べるのに意味はないかと。コストパフォーマンスを考えたら十分お買い得だけど、どれも特筆するほど良くはなく小粒ぞろいという気もします。

*1:要求が高いという可能性は大きい