久しぶりにサッカーをして疲れたぼくは、筋肉痛を明日に残さないために銭湯へ足を伸ばした。家から自転車で5分の距離だけど、一人暮らしの学生には決して安いとはいえない料金なのでかなり久々だ。値段分は楽しもうと風呂を渡り歩いていた僕の暢気な気分は露天風呂に入って奥にいた二人組みの男の、明らかに何か格闘技をやってるであろう肩の筋肉を見た瞬間に吹き飛んだ。
・・・勝てない。自分の肩と見比べ、一瞬でそう悟ったぼくは、二人の話を聞きながら何をやってるのか推理することにした。始めのうちは他愛のない話をしていたが、次第に減量だの試合だのと核心に迫った話題が出てきた頃から熱心に聞き耳を立てる。うーん、難しい。
体つきから打撃系であることはまちがいないので、「キックだ」とぼくの中で当たりをつけて脱衣所で二人組みの一人に話しかけてみた。
「何か格闘技をやってるんですか?」
「シュートです」
総合かぁ。惜しい。それにしても丁寧な対応をする人だな。
「あなたは何かやってるんですか?」
「テコンドーを」
ぼくが”何か”をやっていることを(最近ちょっと逞しくなったらしい)体格から判断したのか質問内容から判断したのかわかりかねるけど、前者なら少しうれしい。
「大学の友人がシュートの道場に見学に行きたいとか言ってましたよ」
「歓迎するので宣伝しといてくださいw」
格闘技サークルの後輩IとTに縄をつけてでも引っ張っていかないと・・・。そうすればこのおかしなフラグも無事消化できるはずだw
そんなふうに、体は(銭湯で)温まっても心は別に温まらない会話をしたぼくは、彼らにとって「戦闘→銭湯」というのは一つのギャグなのかな、なんてくだらない考えとともに自転車で家路を急いだ。よく冷えたビールを飲むために。



銭湯で火照った体にハポー酒をひたすら流し込みながらこんなこと書いてる今の俺は、誰がなんと言おうと幸せだと思いますよ? 小説の話をしようと思ったけど、ネタができたから明日以降に回しますw