舞城王太郎「熊の場所」

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)

三島由紀夫賞の候補になった表題作「熊の場所」、「バット男」、「ピコーン」の3作収録。薄いし文章に勢いがあるからすぐ読めた。
クマー熊の場所」。熊の場所ってのは要するに自分が恐怖を感じた場所で、そこに行って恐怖の元凶と対峙しないといけない、つー話。小学生の僕とまー君の妙な緊張感のある友情(?)関係が面白かったけど、ラストが尻すぼみなような・・・。
「バット男」。ボロボロのバットを振り回すバット男は、しかして弱っちいからみんなのストレスのはけ口にされていた。バット男は反撃するべきなんだ。目の前で自分をバカにする人間を、弱者にストレスを押し付けるシステムを、バットで殴るべきだったのだ。みたいな話。この3作の中じゃ一番好きかな。
「ピコーン」。これは受け付けない。恋人と未来に向けて歩き出したところでの恋人の喪失、恋人の変死の謎を解いた後に感じる喪失感、それを乗り越えてわたしは再び歩き出す。というテーマ自体はわかりやすいものの、知性と品のない女性一人称がイヤです。
そんな感じ。