戦場へ

戦場では、兵士の魂は武器に宿るという。ぼくは自分の選択に魂を宿して、この特殊な戦場で今日も戦っていた。
この戦場では、プレイヤーの状況判断に全ての結果が依存する。有限の戦法の中で、互いに互いの戦法を読み合い、自らの戦法を修正していく。にもかかわらず、お互いにもうこれ以上有効な戦法を見つけることができない終着点、数学者ナッシュの発見した均衡、ナッシュ均衡には決してたどり着くことはできない。ぼくも、相手も互いにミスを繰り替えしすからだ。ぼくは最適解を選ぶことを目標に、でも実際は失敗ばかりの選択を常に強いられていた。
この戦場は息苦しい。自分の、そして他のプレイヤーの選択がここにいるだけで重くのしかかってくる。それでもぼくは、誇りと金を賭けに、今日もこの戦場にやってきた。
開戦からしばらくは追い風が吹いていた。そのままの勢いで攻めればよかったのだろう。しかして相手の威嚇にびびって手を引いたぼくは、死に掛けの相手に息を吹き返すきっかけを与えて、自分のチャンスをふいにしてしまった。この時点で大局は決していたのかもしれない・・・。
つづくかも。