fight

 「戦う」という行為について最近いろいろと考えています。
 俺はいったい何と戦っているのだろうか?そこで何を得て何を失っているのだろうか?そもそも俺の戦場はどこにあったのだろうか。
 今思えば、高校の頃の俺は確かに戦っていた。参考書と問題集を武器に、戦友とともに大学受験という見えない敵に立ち向かっていた。もう一度あの戦いをしたいとは思わないけど、あの頃の俺はたしかに充実していた。この敵を倒せば、明確なハッピーエンドが待っていると信じて・・・
 その戦いが勝利とも敗北ともつかない微妙な結果で終わると、俺は敵を見失った。敵は消えたのではない。見えなくなっただけで、より強大になって俺の前に立ちふさがり、不安感や対象のない苛立ちといった形で俺の精神に攻撃を仕掛けてきた。課題とレポートに追われていた頃は、忙しさを理由に敵と向かい合うことはしなかった。暇になったら、賭場や飲み屋で小さな戦いをすることで、この強大な敵から目を背けてきた。でもこれ以上逃げてちゃダメなんだ。そんな気がします。
 いや、今考えるべきは、目の前の相手にどうやって勝つか、だ。
 飛んできたジャブを両手で受ける。重い。考え事をしてる間に詰められた間合いをバックステップで広げる。オープングローブとちゃちなヘッドギアで守られているとはいえ、まともに食らえばあざでは済まないだろう。
 そもそもマッチメーク自体に無理がある。身長で20、体重も20も下回る俺にとって、相手のジャブは重いストレートだ。相手の武器がストレート系のパンチのみであること、動きが読めないほど完全な素人ではないこと、打撃のスキルは俺のほうがあること。何より、相手に寝技に持ち込む意思が全くないこと。俺にとって有利な条件はこれくらいだ。
策を考える。やはりカウンター狙いしかないだろう。そのためには――
 スイッチして構える。いきなり出足(右)で上段を狙う。虚を疲れた相手の鼻先を俺のつま先が掠める。下がった相手にさらに左の上段蹴りを見せる。これもかわされるが、これでいい。相手にハイキックを見せることで前に出にくくなるはずだ。後ろ足に荷重を残したまま前に出る。ジャブが飛んでくる。バックステップでかわし、そのまま上段蹴り。これも見せるだけでいい。左の後にカウンターをあわせようとすることで、続く右が打ちにくくすればいい。今は何より、相手の左を体で覚えるんだ。
 再び距離が広がる。次で決める。その覚悟も決めた。もう完全にタイミングを覚えた相手の左ジャブに、俺はガードを解きながら向かっていった。やはり怖い。恐怖心を振り払い、右の頬を掠めながら飛んでくるパンチをかいくぐり、一気に距離を詰める。相手の左腕の上から俺の右腕を十字にかぶせながらフック系のパンチを――




オチが思いつかんw 夢オチにするのもあんまりだと思うので、いっそのこと落とさないことにします。
言うまでもなく、この話はフィクションであり以下略。俺って誰でしょうねw
(´-`).。oO(オチが思いつかないのがオチ、てのも酷い話しだよなぁ)
そこで僕はそのゲームを動かしていたハードウェアの電源を切った。信号を受信しなくなった17インチのモニタが立てる低い音だだけが静かな部屋に響いていた。