横山秀夫「半落ち」

半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)

現職の警察官・梶が二日前にアルツハイマーの妻を殺したと自主をしてきた。取調べに対して淡々と自供する梶だが、妻を殺し自首するまでの二日間の話になると語ろうとしなかった。警察の不利になる証言をされるくらいならと、警察幹部は都合のいい自供をでっち上げようとしだして・・・みたいな感じ。
組織と対立しながら仕事への信念や正義感・個人的規範に沿って真実を見出そうとする現場の警察官、検察、記者や弁護士などの男の葛藤の話とみれば、間違いなく水準以上の出来だと思います。視点人物をどんどんと切り替えながら描写していく構成はとてもうまく、誰もが信念と野心を胸に秘めた熱い男なのがいい感じです。一人くらい女性がいてもいいような気もしますがw
これだけの描写からその真相にはたどり着けないだろ、という不満もあるのですがそういう読み方をする話じゃないのでしょう。でも、この真相はちょっとご都合主義に過ぎるような・・・。