滝本竜彦「ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ」

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ダメ人間青春小説が読みたくなったので再読。前回読んだときより心に響いたw
雪崎絵里ちゃんは戦う美少女だ。相手は不死身のチェーンソー男。俺は今日も絵里ちゃんを後ろに乗せて自転車をこぐ。チェーンソー男と戦うために・・
えーと、たぶんストーリー自体にたいした意味はないです。この作品は思春期の少年やモラトリアムダメ人間(俺とかw)が普段感じてる、日常の閉塞感や対象のない苛立ちなどの感情と対峙する物語なのです。チェーンソー男は”敵”として実体化されただけの存在で、「NHKにようこそ」におけるNHKと同じ役割しかしてません。

どうなんだろう?俺は何をしたいんだろう。そもそも、何がしたかったんだろう。

作者*1の感情をストレートに紙にぶつけてる感じで、だからこそ、作者と同じようなダメ人間の心に響く作品になるのでしょう。
高校生が主人公の青春小説で、苛立ちをぶつける相手が部活や文化祭ではなくチェーンソー男というあたりに、滝本竜彦の屈折した感情が見えて面白いですw

*1:この作品を書いた時期は引きこもっていたらしい