西澤保彦「夏の夜会」

夏の夜会 (光文社文庫)

夏の夜会 (光文社文庫)

登場人物たちの”記憶”を頼りに、30年前の小学校での女性教師殺人事件の真相を想像する話。しかし、30年の時間だけでなく、記憶という機能の持つあいまいさがそこにはあって・・・
「記憶」というものがいかにあいまいで、願望や欺瞞でたやすく書き換えられてしまうということをテーマにした作品です。(自分の都合で)忘れていた記憶を引きずり出す過程の痛々しさや自己嫌悪感はかなりもので、読後感が良くはないのもいつもどおりですw
わずかな情報とあいまいな記憶を元に推理したものが、新しい情報によって水の泡になりまたいちから推理する、みたいなこの人らしい展開がかなり面白かったです。