若竹七海「スクランブル」

スクランブル (集英社文庫)

スクランブル (集英社文庫)

結婚披露宴は滞りなく進んでいた。15年前、浮世離れしたお嬢様学校で共に過ごした仲間の結婚式。友人代表のスピーチを考えていると不意に過去へ意識は飛んでいって、あの未解決事件――高校のシャワールームで少女が殺された事件――の真相がわかった。犯人は金屏風の前に座っていた。
凄く面白い。若竹七海作品で一番好きかも。

あれから15年の時が流れ、元気いっぱいだった女子高生は、いまや三十歳を過ぎた。(中略)賢くなった部分もある。ずるくなったところも。子どもだった頃よりも開けた視界。収入と同時に手に入れた自由。そして、得たものと引き換えに失った、なにか。

各章ごとに視点人物を切り替え綴られる高校時代の回想に、披露宴の状況と現在の各人の思いをエピソードとして加えることで、15年という時間の経過による見え方の違いを上手く書いてます。つーか、この手のノスタルジィな話は冷静に読めねぇ┐('〜`;)┌。
少女の視点、そして15年経ってから回想する視点、あの頃の延長線上にいる現在の自分・・・。それぞれの視点の瑞々しさが本当に素晴らしい。高校時代を懐かしく思う人は読んでみるべきです。