桜庭一樹「赤×ピンク」

赤×ピンク (ファミ通文庫)

赤×ピンク (ファミ通文庫)

場所は六本木の廃校になった小学校。『ガールズブラッド』と銘打って毎晩開催される、会員制の地下キャットファイトクラブ。わたしたちは檻の中の囚人。今日もお客さんのために新鮮で、でもどこか嘘くさい血を流す―――心の隙間を埋めるように、格闘技と妖しげなショーにのめり込む3人の女性の魂の救済の物語。
(・∀・)イイ!
思うに、桜庭一樹の作品はこういう幻想的な雰囲気と鬱っぽさが大事なんですよ。作者自身が女性でありながら極真空手の初段を持つ格闘家なだけに、格闘描写も上手いし彼女達の病んだ心も繊細に表現されてて、ほんとに素晴らしい。格闘に対戦相手との単純なものだけでなく、”現実との格闘”みたいな意味もあったりして。やっぱり、(・∀・)イイ!
試合中に対戦相手と共有する奇妙な信頼関係とか、自分よりちょっと強い相手と対戦して自分が引き上げられるような昂揚感とか、格闘技する人なら( ̄ー ̄)ニヤリッ とするような描写が多いのも特徴でしょう。

なんだか、そう、シャブを打つように、哀しみに、死の匂いに、愛のなさに……格闘技ってものが染み渡るように見事に効くのだ。

これはさすがに病みすぎだけどねw
例によって、心理描写のためにストーリーがあるような話なので、合わない人には徹底的に合わないとは思います。