北村薫「冬のオペラ」

冬のオペラ (角川文庫)

冬のオペラ (角川文庫)

『名探偵というのは行為や結果ではないのですか』
『いや、存在であり意思です』

ん〜、普通。期待していた通りであり期待していた以上ではない、そんな感じ。
北村薫の日常ミステリが嫌な話が多いってのはそういうもんだと思ってますが、表題作「冬のオペラ」はともかく他の二つの話は”黒さ”が足りません。中途半端にやるくらいならいっそいい話や脱力話、あるいはもっとドロドロした鬱な話にした方が好きですね。
気に入ったのは、冒頭のセリフにも見える巫弓彦の名探偵に対するスタンス。名探偵なので普通の探偵が受けるような依頼は受けずにアルバイトで糊口をしのぐという設定も面白い。名探偵というのはある意味ハードボイルドな生き方なのかもしれません。
文系にしか分からないような知識を前提にするな*1!ともちょっと思いましたが、それは俺が理系だからでしょう。日常ミステリ系では加藤元浩Q.E.D.」(理系∧割といい話)の対極にいる人ですね。

*1:フランス文学なんてシラネーヨ(AA略