桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は打ちぬけない」

やっぱりへヴィで悲しい話でした。それにしても、この救いのなさは凄いな。
大人は嫌いだけど今の自分は無力だから早く大人になりたい、みたいなアンビバレンツな少女の心理を書かせたら、桜庭一樹、かなり上手い人だとおもいます。そういう描写が出来るからこそ、セカイ*1に追い詰められた藻屑が、自分を唯一受け入れてくれた主人公に向けて必死で放つ”砂糖菓子の弾丸”はインパクトを持ちえるのではないでしょうか。
展開がどうとかプロットがどうとか(もうちょっと練れただろ、とは思いますが)、そんなことを指摘するべき作品ではないよね。「推定少女」以上に読者を選ぶでしょうが、傑作であることは間違いないです。

*1:文字通りの世界に対して自分の周りの人間関係をこう表記するのが流行っているらしい。詳しくは知らない