機本伸司「パズルの軌跡」

パズルの軌跡―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫)

パズルの軌跡―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫)

「何も宇宙を作ることはなかった」と、彼女は言った。「“内宇宙”を作り直せば、その外側の宇宙も変わる理屈だ――」
就職して一週間、慣れない仕事が早速嫌になっていた僕の元に、沙羅華と連絡をつけてほしいという依頼が舞い込んできた。行方不目になった資産家の子息たちを探してほしいという依頼を断った沙羅華だが、調査の過程で気になるものを見つけたらしく一人で行方をくらませてしまう。
という感じの「神様のパズル」()の続編です。宇宙を作るという壮大なテーマを間に介した前作とは違い、本作では直接「人間とは」「幸せとは」みたいなテーマを扱っています。そして自身の出生も含めていろいろと悩み葛藤する沙羅華を書くことに特化した作品になっています。どでもいいけど、こうやって答えの出ない問いに悩んで暴走するところに沙羅華の萌えポイントがあるのではないでしょうかw
それは置いといて、20台中盤にしてあっさり平凡な答えに納得できる綿貫さんは、やはりこういう悩みとある程度距離を置いた存在であるような気がします。