この物語はフィクションであ(ry

「場末」という言葉がピッタリと当てはまるような雀荘から男はフラフラと出てきた。死んだ魚のようなうつろな瞳とショボーン(´・ω・`)と落ちた肩が、男――ここでは仮にKとしておこう――に起こった出来事を象徴しているようだ。浮かない顔のままKは自転車に飛びのり、辛い出来事を振り切るようにスピードを上げた。速度と反比例するように、Kの心は深く、深く沈んでいった。
真っ直ぐ帰るのも嫌になってふらりとTUT○YAに立ち寄ったKを、若い女が出口で捕まえ話しかけてきた。
「おめでとうございます。2等、有線チューナーが当たりました( ̄ー ̄)」
今の俺はよっぽどおめでたいんだろうな、そんなことを思いながらKは満面の笑みを向ける女につられて笑いかけてみる。ちょっとだけ楽しくなる。もしかしたら、笑顔を作るという行為が気分を盛り上げているのかもしれない。これは凄いことだ。辛いときこそ笑え、という格言の正しさが証明されるようだ。
女の話を笑顔で無視したKは再び自転車に乗り、自嘲気味に声を上げ笑いながら残りの帰路を全力で漕いでみた。やはり楽しい。誰もいない小さい部屋に帰り、PCを立ち上げながらもう一度笑ってみた。
なぜだか涙が出てきた。